31日。また駒場へ。例の論文をコピーした喜びに気を取られて、もうひとつ見て読めないことを確認したい論文があったのをすっかり忘れていた。ま、急ぎの用ではないし、大体そんなに同時に読めないのでほうって置くか。
書籍部で角川文庫の「不肖宮島、南極観測隊に同行す」を立ち読む。よくもまあこんなに politically incorrect な表現を羅列して、かつ出版出来るものだと、一種壮観ではある。それを差し引いてもかなり面白い。
駒場寮の皆さんがそんなに簡単に追い出されるはずが無いという疑念は2日前に解決していた。隣の広場にテントが広がっているのだ。今日はおとといにはなかったでかい建物の建築が始まっているし、まだしばらく活動を続けるつもりのようだ。
で、また某所まで歩く。あきらかにナス科の花を付け、いかにもミニトマト似の実をつける可愛い植物が道端に生えていた、もしくは栽培されていたが、あれはなんだろう。某所で数学科の某に会うと、もう面接が終わったとか、うちの学科と違ってすこぶる迅速だ。今朝ずぼらして Bertlmann の靴下を履いていったのが見つかってしまう。面接それではいかんだろう、いや、パリティが破れてるんですよ…
情報の院の試験に出題ミス疑惑が沸き起こっている。何でも
limn→∞ n∫01…∫01 1/(x1+…+xn) dx1…dxn = 1/(e-1)を証明せよという問があったそうだが、僕と彼との統一見解では、右辺は 2 なのだ。
30日。すこぶる涼しい。友人の日記で、最近改組で出来た情報学部の院試の話を聞くが、かなり難しそうだった。
Morse 理論は買わずに取り敢えず借りることにした。その他、論文コピーなど。
家に帰ってなぜか Outlook Express 5 に保存されているメールデータをぶった切る perl script を書いた。何故治ったかよく分からないバグがあったので、信頼できないが…
29日。昼からレポートを出しに駒場へ行く。どうもあの授業でレポートを出した四年生は僕だけのようだが、まあ通常の数学科の講義とは毛色が違ったから仕方が無いのだろう。図書館で86年の ICM の会議録を借りて帰る。重い。
久しぶりに新宿某所まで歩く。文京区の町並みとは案外違うものだと再認識する。某所では新大学生教育の一環としてモース理論のゼミをやっていた。ご本を見せてもらうと Bott の周期性の証明が載っている。そういえば原論文の証明はそうだったよな、さて超対称量子力学でモース理論は分かるのだから、直接物理で周期性を理解できるはずだ、と聞いたことのある言葉だけをつなげて妄想してみる。しかし、 π1 は兎も角、高次のホモトピー群がラプラシアンの固有値に反映するとは思えないのだが。取り敢えずご本を買って Witten の論文をコピーしよう。なぜか数学科にしかないけれど。ご本を読むのも、物理的厳密さで良ければそれほど大変ではないだろう、と信じたい。
さて数学科は、昨日おとといと紙の試験で、もう今日あしきりの発表だったそうだ。僕が現行の院試の欠点を訴えると激しく同意してくれた。
28日。院の筆記試験が終わって、今まさに Debussy と Ravel のピアノ曲全集を注文したところだ。時間内にどれだけミスを減らせるかを試すのは、もういい加減ご勘弁願いたい。
昨日は予行演習と称し大学で9時から17時まで座っている。朝は学科の図書館もがらんとしている。前日に物理以外をやるなど考えられず、しかし院試の過去問を真面目に見る気も起きず、かと言って論文を漁る気にもならぬ。じっと座っている。
総合図書館へまわって今日試験後に読むべき本を借り、昼食を済ませて学科の図書館に戻る。しばらくすると一年下の某が現れて、有難いことに僕に話しかける。絶好の暇潰しだ。
何でも最近、行列は縦横に並んだ数を掛けるのだが、拡張して縦横奥に並んだもの3つに演算を入れるとか、僕に参考文献でも知らぬかと聞くので、直接関係は無いが取り敢えず南部先生の Generalized Hamilton Dynamics, PRD7,2405(1973) を紹介する。折角なので SPIRES でこの論文を参照している論文を列挙させると、あるはあるは、数学および物理における3項間代数構造というレヴューまで存在して、彼の思いついた式がそのまま載っていて、分厚い本まであることを知る。彼の嘆きぶりといったら…君、みな物理学者は暇なのだから。天の下に新しきこと無し、だ。
まだ僕は彼を解放しない。じゃあ君はこれは興味があるだろう、と八元数のレヴューを見せる。曰く、興味ないなあ、ここに例外的数学構造とあるでしょう。僕は一般的なもののほうが。君、一般的で新しいものといったら…同じことを繰り返すのはやめよう。僕も去年はもう少し野望が大きかったかもしれない。
解放された某はなぜか情報の図書館にしかないその分厚い本を取りに行く。徐々に下宿連中のいつもの面子が揃う。今日の予想など、他愛の無い話をしていると時計に反して窓の向こうは大いに暗く、すぐに激しい雨の音が。食事に行くころは雨はあがっていた。家に帰るころには今考えれば既にかなり気分が高揚している。こころの一箇所に意識が集中してしまうという奴で、ふとんを敷く直前あまり言いたくない雑事などあってそちらに意識が集中してしまい、いつもの、今日も眠れないのだろうかという恐怖どころではなかった。お蔭でぐっすり眠る。
夜のあいだは断続的に雨だったようだ。目覚ましがその日に壊れるといけないからと実家に電話を頼んであったが、それ以前にきちんと起きる。忠告を入れて長袖を持つ。ここではじめて先の旅行で一着長袖のカッターを紛失していることに気づいた。
午前の試験。2食まで遠出して昼食。午後の試験。
心拍数の高いまま4時間半というのはかなり体に堪える。テストの最後のあたりには、どこの計算をチェックしても計算間違いし、いや、はじめに計算したときのほうが冷静で正確なはずだ、と必死に自分に言い聞かせ、また実際そちらが正しいことをさらに時間を掛けて納得するという始末。地下の食堂で座っていつもの数人で1時間くらい碌でも無い話をして昂揚を醒ましてからまた半時間ほどかけて食事、
自転車で我が家へ。途中進行方向が光るな、と思うと大粒の雨。すこし急いで帰るが、結局本降りには至らず。きのう借りておいたホイジンガの「あしたの蔭りの中で」を読む。
26日。朝起きて、それほど晴れても居ないがまあ取り敢えず布団でも干すか、としばらくすると突然大粒の雨。すぐあがったが。
夕方は見事なうろこ雲に、ほうきで掃いたようなすじ雲。すっかり秋だなあ、といいたいところだが、如何せん多少蒸す。
25日。
昨晩は一時ごろ眠る一助としてこういうことを考えた。羊の数を下から数えて大きくしていくと、自然数は無限大まであるのだからきりが無い。むしろある数から始めてくだっていったほうが0になったときに眠りに落ちると暗示に掛けやすかろう。てなわけで400からはじめて、ついでに全く久しぶりに梅田で階段を下りて阪神に乗って魚崎まで行く自分を想像していると、100あたりでなにやら訳の分からぬ土地を電車で旅している自分を発見し、50あたりで数えるのを忘れてしまった。
で、めでたく7時に起床す。しかし10時にまた眠くなってしまい13時まで睡眠。どうやら体が9時間睡眠を必要としているらしいな…
気晴らしに神田に行くも、たいしたものは無い。だいたい古本街を歩いている男の服装/髪型は何だ、と自分を棚に上げる。明倫館が激しく混雑していた。最近 M の半分くらいでいいから幾何を理解できておればいいのにと思う。そこで久しぶりに数学の棚を見る気になる。残念ながらどの本がいいのか僕には分からないのでどうにもならぬ。萎える。
帰ってくるころには夏らしく雲が立ち上がっているのが見える。夕立にはならず。家では去年やった実験の手順書をふらふらと眺める。半月だ。
24日。昨晩はめでたく1時に眠れて、今朝はめでたく8時に目が覚めたのだが、パンを食べて新聞を読んだ後また眠ってしまった。目が一瞬覚めたりまたすぐ眠りに落ちたりを繰り返していると12時。
今日は U 君とネット上で議論。応答が1時間おきぐらいなのでのろのろとしか進まぬ。 そのほかはとうとう出た Sasa-Tasaki の論文を読んだり、場の古典論を眺めて誤植を発見したり。
夕方、暗くなった空の半分くらい雲がある程度なのに雨がぱらついた。
桜並木の下を通るとどうも上から虫の声がする。てっきり僕はこおろぎは地面にいるものと思い込んでいたのだが、木の上に登っているのだろうか。それとも反射だろうか。そもそも地面にいるものと思い込んでいるのは僕だけか。
23日。朝の青天にたまっていた洗濯物を処理。ベランダに干して大学へ行くも、午後にわかにかき曇りざざあと夕立つ。暫くの雨のためかばんから折り畳みを出していたせいで帰るわけにも行かぬ。5時に図書館を追い出されたころには上がりかかっていた。
B と食事を済ませ地下から出て来るといつになく幻想的な夕焼けだ。ともに帰る。弥生の交差点で本郷通りを渡ると夕陽が見えた。
「君、見給え、あの太陽を。」「赤いな…」「あんな太陽をこれまで見たことがあるか」「地震の前などは空があやしく光るというぞ」
風向きのお蔭か洗濯物はそれほど濡れていなかった。助かった。
22日。台風一過。夜は青天。大三角が見える。夕食を食べに行った帰り、道端の植え込みから虫の声が。
前もあった話だが、また鉄板の温めすぎだ。テーブルに持ってきたときはジャンボメンチカツにカレーソースが懸かっていたのだが、みるみる蒸発して乾いてしまった。
ここ数日応用数学XAのレポートのため U(g) の Uq(g)への変形の仕方を勉強していたのだが、結局のところ systematic な方法があるのかどうかわからず、こればかりに時間を掛けるわけにも行かないのでとりあえず棚上げして生成元と関係式が公理を満たすことを確かめてしまった。鬱だ…
物理屋のための群コホモロジーとかいう abstract の論文があったから印刷したが、事実が列挙してあるだけで証明がなく、役に立たぬ。これまた鬱だ…
21日。台風が迫っているのにも拘らず、所用で大学へ行く。家から駅まで歩く間雨足がどんどん強くなるのでどうなることかと思いきや、電車から外を眺めているとそれほどにも見えぬ。降りて大学まで歩くあいだも気まぐれにざっと降るが概してたいした雨ではない。
3年の皆さんが F&H のゼミをしていると風の便りに聞いていたが、F&H たあ何のことか分からず、てっきり Frauenfelder-Henley の Subatomic Physics だと勘違いしていた。実際は Feynman-Hibbs だった。お邪魔して済みません。
我らが F 教授が猛然と文献を漁っていた。
夕食後帰る。雨はあがっていたので有難かった。大気がぬるい。数日前、航空の某が電話で、台風があのようにぐるぐる回っているのが始めて認識されたのはいつだろうと言っていた。僕らは確かにひまわりの画像でよく知っているわけだが。
19日。今日は家でじっと懸案の応用数学XAのレポートを仕上げるつもりだった。問題のひとつに
節が n 個ある根付き木の同形類が p(n) 個あるとして、P(t)=Σ∞n=0 p(n)tn を特徴づけよ、私もまだやってませんが。という誠に下らないものがある。数年前に戻ったつもりで考えると、すぐ
P(t)=t exp(Σ∞m=1P(tm)/m)と分かるのだが、さてこれだけではつまらないので実際に計算しよう。
と数日前には思うに至っていたのだが、如何せん Mathematica が使えん。free なソフトもここ数日で 2, 3 ダウンロードしてみたが、このためだけに新たに文法を覚える元気が無い。諦めて C++ で書くか、と一月前に書いたコードをいじっていざ compile... cannot find cpp0 ?
octave禍が残っていたらしく、数分設定をいじるも埒が明かず、総合図書館へ急行して cygnus を再導入す。
さて動くようになったが、途中で有理数を使うため一瞬で 32 bit が溢れる。
64 bit の long long
を使っても相変わらずすぐ溢れる。
というわけで実家で使っていた NEC PC-9821 の HD を固めたものを随分久しぶりに融かして昔書いた任意精度整数演算クラスのコードを引っ張り出す。おお、1995 年だと、わしも年をとった。
残念ながら当時は C++ の世界標準が出来る前の流動的な時代だったので、そのままでは現在の compiler に通らない。SIGSEGV
に泣きそうになりながら code を修正。このあたりで図書館は閉館、諦めて2食3階へ。
ピアノを弾こうにもブラスバンドが練習中。プログラムが気懸かりなのでさっさと帰るかと思うも、廊下にコンセントを発見、いすを持ってきてノートPCを開けて金管を聴きながら coding を再開す。
どうも形式的べき級数の最大次数をあるところよりあげると bug ると判明。あきらめて最初の数項だけ計算する。 1, 1, 2, 4, 9, ... うーん、4 じゃなくて 5 やったような気がするけど、と慌てて講義ノートを持ってこなかったのを後悔したりして苦虫を噛み潰しているところへ、
こんなところで何をやっとるんですかーと Jazz のセッションをしに来た某。「いやあ、根付き木の個数を数えてるんやけど、」云々。まともな会話ではない。
しばらくすると部屋が空いた。ピアノをひたすら弾く。弾いているとこれまた音楽関係の同学科の某が現れて、よもやま話をす。
2食横の木立は虫の声がすばらしい。結局2時間ほど弾いて、夕食を食べて家に帰る。
ノートを確かめると 1, 1, 2, 4, 9 で正しかったようだ。ひたすら debug. delete[]
しすぎが原因と判明したので、まるで delete[]
しないことにすると激しく swap するが一応計算できるようになった。一件落着。
さてあとは Uq(sl2) が Hopf 代数になることを確かめればこのレポートは終わりだけど、単に公理を満たすことをチェックするのは馬鹿らしいので、しばらく勉強してからにしよう。と先延ばしにして風呂に入
って冷静に考えると、別段任意桁有理数をつかわなくとも、 double でも最後に(甘く誤差評価をした上で)整数に丸めれば大丈夫なはずだ。風呂から上がって polynomial<double>
でやってみると頗る速い。というわけで今日は首尾よく行ったところで無意味なことに激しく骨折り、非常に楽しかった。ちゃんちゃん。
18日。朝はしとしとと雨が降っていた。お蔭で涼しい。4時ころ「おなか減ったんやけど、夕食にいかへん」と電話があったので、5時に夕食。
今週を総括してみるに、はっきりいってだらけていて勉強が足りなかった。反省。
昨日かおとといの夜に、Connes-Kreimer 内容紹介の講義のレポートのため色々考えていると、多少幻滅するような内容の定理を証明してしまったような気がしていた。キチンと書き下すとやはり正しいようで、困ったものだ。
来週中ずっと近くで道路工事があるようだ。これまた困った。
16日。今朝3時〜4時の月による木星の蝕、かなり期待して起きていたのだが結局雲が晴れず。こんなことなら昨日夜7時ころから実家に帰ればよかった、望遠鏡もあることだし、と多少後悔す。つぎに日本で見えるのは33年後とか、僕も定年間際だ。
ですぐ寝て昼に起き、レポートを提出す。青空に積雲がぽかりと浮いているのだから酷い。
新聞を読んでいると液体窒素の蒸発の際の膨張のエネルギーで動く車を試作したとあってワゴン車の写真が載っている。環境にやさしいというが、当然ながら液化にどの程度エネルギーがいってどれだけ車で取り出せるかにも因る。ま、しかし、もし普及すれば夏の車道が涼しくてよかろう。窒息の心配もあるかも知れぬ。
大学でPhysics Todayを読んでいると、さすがアメリカの物理学会の雑誌だけあって、さきの大戦で B29 の日本爆撃にあたって機内で必要だった計算(燃料消費, 弾の落とす向き, etc.)を迅速に済ませるための専用計算尺を色々大量に作ったという無邪気な昔話が載っている。
量子電磁気学の専門家が、整数量子ホール効果はどの程度本当に整数か、という記事を RMP に書いてあるのを見つけたのでコピーす。普通の解説とは毛色が変わっていて面白そう。
15日。
総理の例年の式辞が 「多くの国々、とりわけアジアの近隣諸国に対しても多くの苦しみと悲しみを与えた」 と加害責任が不明確であるところを今年は「我が国はとりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と村山さんに倣って主語をつけて明確にした、と新聞にあったが、さてそもそも主語の有無を問題に出来る言語がどれだけあるだろうか。
書いたが印刷していなかったレポートを印刷。明日提出に行く。
夏の学校で駒場の先輩に言われてそんなことがまだ解決してへんのかいな、と思っていると、つい最近のPRLに論文が出ているのを発見した。C2 ×C2 ×C2 をヒルベルト空間とする量子系で3つの部分系がどんな風に非古典的な相関を持ちうるかを分類した、というのだが、こんな有限系でまだやることが残っているというのは多少驚きではある。
14日。久しぶりに大学へ。インキを買う。適度に暑い。
今田先生のレポートを書いていると、 Hubbard-Stratonovich 変換の Stratonovich と Stratonovich 積分の Stratonovich が同じ Stratonovich なのかまた気になって仕方がなくなったので、貴重な一時間ほどを費やして頑張って調べる。Rouslan Leont'evich Stratonovich, 同一人物のようだ。「変換」のほうは、Stratonovich が Matsubara の論文に刺激されて編み出した変換(Sov. Phys. Doklady 2,416 (1958)) を、 Hubbard が PRL3,77(1959)で英語圏に紹介したというのが実情のようである。Stratonovich 積分の原論文 J. SIAM Control 4, 362(1966) は数理の図書館にしかないらしく、見るのは諦める。
ノートパソコンを持っていったので総合図書館でいろいろとダウンロードする。 1Mbyte/sec 出るので快適だ。 open な数式処理ソフトは相変わらずないらしく、とりあえず octave の cygwin 用 binary なるものをインストールしてみるが、これが cygwin 環境の小さな小さな subset を別に構築するという巫山戯た奴で、既導入済の cygnus の設定をめためたに変えてしまいやがる。復旧に手間取った。
図書館を出るとまだ6時半なのにすっかり日は暮れて、夏の過ぎ去るのを感じるばかりじゃ。
13日。蝉の種類が変わってきたように思う。一日中ぐうたらしていた。残ったレポートふたつをやっつけようという気にやっとなってきた。
スーパーに行ってつい茄子を買ってしまう。5つ入りなので食べ尽くすのが多少大変だ。とりあえずひとつお味噌汁の具にしたあと、焼いて生姜をおろして御浸しにしようと思い魚を焼くところで焼く。とここまで書いてそこを洗い忘れているのに気づいた。洗う。
如何せんどれくらい焼けばいいものか分からず、なかなか皮が炭化しないなあ、と思って見ているとボン、と音がして裂けてしまった。慌てて取り出して水の中で皮をするするとむいて冷やす。ま、いつも家で食べるのと似たような具合になったのでこれでよかったのだろ。
12日。朝は雨。昼からあがったのでふらりと自転車で日本橋の丸善、八重洲のブックセンター、新宿の紀伊国屋を冷やかす。お堀の南側を回ったのは今日がはじめてだ。涼しくてちょうど良い。
実は丸善へ行ったのははじめてだった。丸善店頭で買いたい洋書があれば大学生協へまわせば安く買えるというシステムがあるそうだが、棚には特にほしいものは無い。Streater&Wightman の 「PCT, Spin-Statistics, and all That」 が Statistics の棚に並んでいたので笑える。
今日は歩道のある道しか通らなかったので危険は無かった筈だ。とは言え、少し昔を思い出してみると、小学校のころ塾帰りに駅前の大通りの歩道を歩いたとき突然バイクが目の前の電信棒に前輪をぶちあてたこともあったので、気にしだすときりが無い。
車にはねられてから実家に連絡が行くまでどれくらい時間がかかるか考えてみたりする。学生証は持っているが、こっちの住所しか書いていないから、大学に問い合わせるのだろうか。ネットでしか付き合いの無い人に伝わるまでどれくらいかかるか。実家でHTMLを書ける人がまだ居ないので、このページに広告を出すわけにもゆくまい。そもそもパスワードを知らないのでどうしようも無いだろう。
常々、死ぬ直前にはサーバーを一台用意して愛する人その他には各種記念日に年に一度くらい僕の名前でメールが届くようにしようと思っているのだが、不測の事態に備えて今から準備すべきなのかも知れぬ。その日生きていたら次の日の発送は取りやめるようにして。
11日。多少考え事をしながら自転車に乗っていると横をトラックが通過した、と思ったら大きな石に乗り上げて自転車は倒れたが僕は少し跳びあがって難を逃れた。すこしタイミングが悪ければ、そしてすこし倒れ方が激しければ今頃あの世に行っていたと思うと、ぞっとする話だ。
洗濯物を干したのに雨が降る。渇水緩和に役に立ったろうか。昨日あたりの新聞では「多摩川上流に効果定かならずも人工降雨装置あり、作動さす」となっていたのが今朝の新聞では「装置作動後多摩にてまとまった降雨あり、なお因果関係判然たらず」とある。効果定かならずでよく行政が金を出したものだと思うが、水道局職員が雨乞いしているのかも知れぬ。
非線形σ模型も対称性を保つ繰り込みは難しいことを漸く認識す。似た模型で量子異常を示すものはあるか?
11日。物性夏の学校へ参加していたので日記が滞っていた。
前日の夜には「ともだち百人できるかな」と歌ってみたり、すっかり自分がパーティが苦手だというのを忘れていた。
結局あまり眠れず6日朝。多少本郷に用事があったので、珍しく電車で大学へ行く。夜ひとりで読む時間もあろう、と少し前に印刷してあったレヴューを製本する。当然のことながら一度もページをひらく暇は無かった。
はじめて上野まで多少迷いつつ歩く。しのばずの池で、遊歩道脇に各社の湖水浄化施設の実演というのか実証試験をしている。1時半発の快速で高崎へ向かう。高崎から渋川へ鈍行、バスで伊香保温泉へ。山をあがるまではひたすらトウモロコシの畑。
下から見たときの雲の中にいるらしく、遠くは見えない。涼しい。長袖が必須だ。バス停からかなり迷いつつ宿舎に到着。食事はすこぶる良い。大浴場は茶色くにごった温泉で、ユニットバスでシャワーしか浴びられぬ身としてはこれほど嬉しいものは無い。早速1時くらいまで飲む。
7日。相変わらずあまり眠れず。朝、外のアジサイを窓から撮ってみる。百日紅とアジサイが同時に咲いているのは不思議な風景だ。
3日連続の講義が午前に3時間半、単発の講義が午後に4時間、夕食の後はひたすら飲むという完全に人を馬鹿にした時間割である。JMOの合宿みたいなものだ。趣味に合わせて講義は選ぶことが出来る。
朝は初貝先生の量子ホール効果の講義。タイトルしか明らかでない段階で申し込んだのだが、予稿集を受け取ってみてみると3のうち2くらいは既に論文を集めてあった。もっと何も知らぬのにしようかとも思ったが、面白い話は何度聞いても面白いものだ。内容は、トポロジーから見るホール効果の整数性(TKNN,PRL49,405(1982);Y.Hatsugai,PRB48,11851(1993))、あとHofstadter 蝶と量子群(Hatsugai,Kohmoto,Wu,PRB53,9697)。講義室の入り口をあけると、寺子屋の一室。先生はあぐらを書いて指示棒を伸ばして説明する、といった次第。
午後は田崎秀一先生の力学系から統計力学へどう移るかといった話。申し訳ないながら連日の寝不足でうとうとしてしまう。状態空間に入れる測度によって得られる長時間平均が変わってしまって困ったね、という話と、「力学の時間反転不変性と熱力学の時間の非対称性の矛盾」という標語は力学において時間反転が各種物理量にどう act するかを忘れていて、たいてい言われる例は例になっていないという話と。
寝不足でさっさと寝る。
8日。朝は講義、昼はポスターセッション。物性夏の学校という名前に反して、力学系の発表あり生物物理の発表あり、盛況だ。量子力学を使わない人が案外多かったのが衝撃的だった。この日は特に寒かった。
うちの部屋にU†が来て数人でまったり飲む。
9日。朝は講義、昼は樺島せんせのスピングラスと情報理論。ビット列の転送の話がスピン系に一般に焼き直せて、あとはここ20年の理論使い放題という話。Thouless, Anderson, Palmer Phil.Mag.35,593(1977)の方法を迅速なエラー訂正アルゴリズムに使える etc, 物事なにに応用できるか分かりませんなあ。すこし太陽が出た。
僕はそうでもなかったが、4晩とも飲む人はひたすら飲む。ホテルは貸切なので、5人部屋では集まって飲めないということで玄関前に100人くらい集まって飲んでいたのが圧巻。
10日は解散、朝風呂に入って11時ころ渋川駅を出、U† と帰る。上野から最短距離で大学へ、講義中触れられた論文など漁って家に帰る。やはり地上は暑い。定時に日記を書こうとがんばるもダウン、朝まで寝てしまった。今朝は10時ころ起きて服など洗濯。
いつか。今日は曇っていて、とても涼しい。いつも通りピアノを弾きに行く。
電話でいつ風呂に入るかと聞かれたので、最近暑いから2度シャワーを浴びるというと、肌にいる善玉菌が回復するのに12時間以上かかるからそんな体に悪いことはするなと言われる。
対称性の自発的ほとんど破れを論じつつ、2d Euclidean で NG ボソンが出ないといって Coleman を引用しているのをまた見かけたので、思い出したように昔のノートを引っ張り出して証明を見てみるが、どこにも 2次元性を使っていないことが判明、出来たつもりだったのは矢張間違いだった。というわけで何とかしようと四苦八苦するが、どうにもならず。Witten が NPB145110 で詳しく論じているらしいが、読んでも分からん。鬱だ。
鬱なのでこれから数日日記を書きませんが、ご心配なさらずに。
よっか。雲があやしい。あまりに暑いので髪を切りに行く。店の内装が白を基調にして明るく変わってしまったのを発見す。置いてあるTVが液晶になったし。
論文のコピーのしすぎの為、いい加減何をコピーして何をコピーしていないかあやふやになってきたので数日掛けてすべて一箇所に書き留めていたのがやっと完成した。現在のところ二重コピーは無かったようで、多少ほっとした。
面白そうな講義録を発見したので印刷しているとインキが切れた。
みっか。快晴。月が丸い。
夕焼けの下、久しぶりに池袋のジュンク堂へ行って本を冷やかす。が結局当然のごとく何も買わず帰ってくる。
おととい大学へ行ったときにツクツク法師を聞いた。そのさらに前に夕方ピアノを弾きに行ったときにも聞いた記憶がある。まだそれほど多くはないようだ。
Peskin-Schroeder の典型的な繰り込み群の計算を追った。原論文と全く同じコメントをしているのが笑える。次元正則化を使うとその数が正なのか負なのか分からないので単純に運動量を輪切りにしてみたが、最終結果が一致したのでほっとする。また、 Lorentzian で計算すると i が乱舞してやはり結果が suppression なのか enhancement なのか判然としないので最初から Euclidean で計算したが、一般的にいつでも一致すると信じるが示せないので不安だ。