May 31 23:14

31日。朝は雨。昼にはあがった。月を雲の向こうに見た。

U と量子論でも dO(t)/dt=[O(t),H(t)]/ihbar+∂O(t)/∂t は成り立つかと10分ばかり悩む。結局問題は ∂O(t)/∂t をどう定義すべきかと言うことにあった。何を示したいのか判っていなかったという、よくある話だが教訓的でもある。

昨日のゼミ直前の話だが、S 助手にこれこれこういう話が e-print にあがっていた、と印刷したのを見せられた院生の、え、あの仕事やられちゃったんですか、と言った後の驚きの表情といったらなかなか見られないものだった。うちの初田先生が去年あたり物性からとあるデータ解析手法を格子 QCD に持ちこんだそうで、それを用いていろいろしようと思っていたうちに一つやられてしまったという。研究競争は熾烈だ。


May 30 23:28

30日。昼食後9階の窓から外を眺めていて、つい「鳥が飛んでるねえ…」と口に出すと、そんなこと言うから君は変だと△△に言われるんだ、と言われる。先週かなり気合入れて予習してあったので、ゼミでの lattice compact QED の相図の話は頗る滑らかに進んだ。演壇に水が用意される身分ではないので、勇気を出して 500 ml のペットボトルを買う。

家に帰る途中にパラつき始めた。今や案外の雨。

素研の水曜のゼミは江口先生から松尾先生にバトンタッチして Ginsparg の Applied Conformal Field Theory をやるそうだ。物理図書館には該当回の Les Houches 講義録は欠けているように思うが、著者のサイト http://xxx.lanl.gov/hypertex/ から手に入る。ま、他の場の理論の手法とは直交しているとは言え、摂動論的繰り込みより先に共形場勉強するってのは変だよねえ。最後の10章に「天候のため予定されていたこの日の講義は無くなった」とあるのは謎だ。

ローレンツ変換が天球上に角度を保って働くことについて、いい参考文献はないかと聞かれたが、Penrose-Rindler の初めの章は図も多くてなかなか良いそうだ。


May 29 23:23

29日。昼食後9階に上ると雨が犬猫降る。朝良い天気なので折り畳み傘を鞄から出して学校に来たのに一体どうしてくれよう、と思っているうちにすぐすっかりあがった。もはや東京は熱帯だ。

つい A4にして20枚強論文をコピーしてしまった。

コピーした論文に関連して、空間の各点にエルミート行列(対称行列、反対称行列…)が生えているときに、固有値が2つ一致する点の集合が空間の次元から何次元さがるかを昼食時暇潰しに U と考察した。反対称行列のとき2次元さがると結論したように記憶しているが、それは間違いで、3次元さがるはず。

e-print archive に Baez さんが八元数のレビューを書いているな…


May 28 23:20

28日。晴れた夕空に三日月を見た。日が沈むのが遅い。

例の岩波講座は K が既に買ってしまったとか。前から気になってはいたのだが勇気を出せず、逡巡して相談したところその相談相手にかっさらわれてしまったと言う風情だ。

今日は原子核の話を聞いた。恒星中の元素合成の詳細を理解するために地上でデータを取らねばならない話と、核内一粒子有効ポテンシャルが陽子中性子比を変えるとドラスティックに変わるのがようやく判ってきた話と。

講義が終わってクレジットカードの手続きでもしようと生協本部に行くともう営業時間外であった。

昔 NEC の PC98 全盛時代に作ったゲームのバグ報告が高校の同級生から今更届いた。無敵化バグらしい。


May 27 23:24

27日。雨上がりの涼風を楽しみながら自転車で大学へ。金曜に地下2階に忘れて帰った眼鏡を取り戻す。

さてピアノも堪能したしお腹も膨れたし、と神保町の大戸屋から出てくると滝のような雨。自転車さえなければ地下鉄で帰るのだが…と雨足が少し弱まるまで待ち、あきらめて御茶ノ水まで自転車を押す。橋まで来たところで雨はぱらつく程度に。家まで戻ると路面は乾いているので、どうなっているのやら。

ポリヤコフの本、引用されている文献がことごとく spires で検索に懸からない。似た文献があってもページや雑誌が違ったりで、どないなっとるんや?

僕は他人に趣味の押し売りをされるのは昔から嫌いなのだけれど、よく考えなくてもこの備忘録は拙いピアノを載せたり物理の話をしたり、趣味の押し売りの権化だと今日ようやっと気付いた。


May 27 06:07

皆様おはよう御座います。うぐいすがホーホケキョと鳴いた。多少時節はずれだが。

2年前の五月祭に弾いたのの録音を mp3 に変換したのでご笑聴ください。ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」作品87より第24番。(〜1.4 Mbyte)


May 26 23:13

26日。五月祭なのでピアノを聞きに行く。と言っても今日は3時までだったのを知らず2時ごろ出掛けたので、30分ほど。薄く曇って空は見えない。

昨日の話題をもうひとつ。談話会が始まる前に3年の女の子が五月祭のビラを配っていたのを W教授が捕まえて、

超流動は粘性が無い状態だとあるが、抵抗が無いだけでは超伝導ではないだろう。 マイスナー効果に相当するような、超流動を真に特徴付ける現象はなんですか。
と宣う。我々無学な学生は判らないぞ判らないぞと互いに顔を見合わせた。渦の量子化か?


May 25 23:19

25日。晴れた。朝から駒場へ。先週は本郷へ戻ってから自転車が無く閉口したので、文京区役所の駐輪場まで行ってそこから南北線、半蔵門線を使うことにする。

今日の談話会は、 L. Glazman さんが「1次元量子力学とフェルミ分布関数を知っているだけでわかるように」 彼の Phys. Rev. B 49,1966 (1994) の内容を解説。量子細線中に不純物が一個あったばあいの影響を繰り込み群で計算するというもの。その方針で出来ようが、一人ではまだ実行できないな…

うちの学年とは違って1年下の奴らは団結力が強く五月祭で実験の演示をするとかで、準備を手伝っている N の横に Uと一緒に立って無駄話をしていた。


May 24 23:04

24日。今日も雨。午後は健康診断に行く。去年との体重差が 500g 以内だったので安定してはいるのだが、太りたいなあ…

午後は論文を眺めて過ごす。


May 23 23:16

23日。夕方は止むかと思っていたが、またじゃじゃ降り。

助手の S さんのモンテカルロ入門が案外時間を食ったので、回ってくるはずだったゼミの発表が回ってこなかった。多少拍子抜けする。

勇気を出して藤川先生に(ちょっとだけ)話を聞いた。

U が小形先生に頼んで、夕方に数人と p.w. Anderson の "Basic Notions" を読んでいるというので顔を出す。秩序変数が出ると保存則が破れるように見える、とものの本にはよく書いてあるが、具体的にはどういう意味なんでしょうねえ、と皆で混乱する。


May 23 00:04

22日。うちの母によればあの花はユッカというそうだ。龍舌蘭の仲間。

今日は宇宙論の教官は海外出張なのでゼミはお休み。よって素粒子論のゼミに潜る。潜っても先生が何も言わないので、上手く融けこんだなと横の奴に言われるが、単に先生誰がいるかまだ把握していないだけかも知れぬぞ。無質量粒子の小群の表現を物理的要請として1次元に限るのはなぜでしょうねえ、というお話。

その後カラーインキを買いに生協へ向かう。中央食堂に戻ると面倒だから久しぶりにメトロででも食べるか、と考えていると安田講堂横の楠の木のあたりで A に遭遇。どこへ行くかと問うと久しぶりにメトロで食べようかと思ったとか、まったく奇遇だ。何か気持ち悪い色の糸で結ばれているのかも知れない。

で、上手く行かない音声分離の話とか、ウォルシュ解析の話とかを聞く。

帰りがけにはしとしとと雨。


May 21 23:15

21日。小石川植物園で理学部の屋外パーティ。新緑の下でビールを飲む。植物園にいる間は大丈夫だったが、家に帰った頃に涙と鼻水とで大変だった。

主張: わざわざ賛意を表明するのは非生産的だ。無理にでも反駁を試みよ。

問題: フェルミオン場で( possibly トポロジーに関連した)古典解が重要な場合はあるか。例えば、いかにもな結合定数依存性を持つBCS基底状態はどうか。と昨日問題を立てた直後 Phil Anderson が(ある意味)やったのを知った。拡張せよ。


May 20 23:12

20日。洗濯物を久しぶりに干す。冬場は面倒くさいのもあってずっと乾燥機だった。

田崎さんの日記にSSTの詳細を cond-mat に載せたのでみんな読め。と書いてあるのを見る夢を見た。

祖母とその娘ふたりが日光旅行ということで、帰り道の浅草まで出かける。蔵前で大江戸線から浅草線に乗りかえるのは癪なので一駅歩いた。丁度三社祭で恐ろしい人だかりだ。少し移動して日曜出勤の兄と合流し、食事にゆく。

Kittel を眺めていると、正イオンが負電荷のゼリーに散らばっていると思えば普通の結晶は Wigner 結晶であるとある。


May 20 02:50

問題: 特殊相対論の効果を取り入れた VRML ブラウザを開発せよ。

眠れないので常微分方程式系 dx/dt=-γ(x-y),   dy/dt=μx-y-xz,   dz/dt=-bz+xy (いわゆるローレンツ模型)で、μ=28, gamma=10, b=8/3 として 中心(0,0,20)、半径50の球面がどう発展するか描いて見た。かなり笑える。課題: 2次元では`strange attractor' は無い(らしい)のは何故か。2次元の何が重要か。


May 19 23:29

19日。昼は全くよい天気だった。夕方にわかにかき曇ってかみなりさんが鳴る。大粒の雨。虹が出るかと期待したがそう上手くはいかなかった。

Callan-Dashen-Grossは一体 2年で何ページ論文を書いているのだ。

問題: 渦糸など広がった対象を扱う有効場の理論、およびそのための繰り込み群を開発せよ。既になされているか?


May 18 23:14

18日。前に言っていた花が咲いた

今日は日本理学部長会議のため午前の講義は休講。よって直接駒場に行く。こないだのゼミで先生が触れた Polyakov の教科書を見る。彼の書いた有名な論文を時間順に並べてつないだという雰囲気。その後半蔵門線から南北線に乗って無意味に本郷へ。Bと夕食。自転車は無いので春の夕暮れを歩いて帰る。風もあって心地よい。

駒場の書籍部で最近微妙に話題の『虹の解体』が積んであるのに気が付いた。科学者になるべく修行中の人間の読むべき本かどうかは判らない。と言いつつ John Bell の伝記でも手に入れてみたり。読みとおす元気が無いが。


May 17 23:10

17日。真昼に自転車で動くとかなり暑い。

真昼に動いたのは区役所に年金支払い免除申請に行ったからだ。これから行くという話を昼ご飯の上で U と K としていると、Nobel 賞とれば年金はついてくると U が無茶を言う。まずは湯川さんに倣ってお金持ちのお嬢さんを篭絡するのから始めるに如くは無いなあ、と思うのであった。

で、ついでにまた明倫館に行く。1960年台に出た版の岩波の物理学講座が13巻セットで12,000円と大特価だったので心が動くが、持ち合わせが無かった。最近の岩波講座と違ってトピック的でなく網羅的だし、久保その他の書いた統計の巻はそれだけ再版されるくらい評判が高い。まあ、図書館にあるから買う必要は無いんだけど、あれだけ安いとねえ…とここに書くと瞬く間に誰かが買ってしまうような気もする。

去年だと思うが、どこかの科学雑誌で、知的生命体が銀河に広まるのには1千万年のオーダーで充分であるため、我々がこの銀河で最初の知的生命体であるのは明白であるからして、(行く先々の生態系を壊さないよう注意しながら)植民に乗り出すのが使命だと読んだ記憶があるのだが、出典が思い出せず困っている。


May 17 00:05

16日。軽く雨。

伝記によるとランダウは無類の女好きで、大恋愛ののち結婚した後もいろいろな女性と会うのを止めなかったが、妻にはどこまで行ったかなど何でも包み隠さず話したそうだ。夫人もはじめは当惑したらしい。

図書館で何故か判らないが本を数10冊破棄し、ご自由にお持ち帰りくださいということだった。ランダウ=リフシッツの相対論的量子力学の前半のロシア語版、また Progress in Low Temperature Physics の vol. 1 があったので貰って帰る。


May 15 23:23

15日。Yang-Baxter 方程式その他で有名な Baxter 先生の談話会。質疑応答で誰かが、近年 Yang-Baxter を満たすだけで solvable というが、どう思うか。solved とはどう違うか。と発言した。Baxter せんせのコメントは忘れたが、ホストの W 教授の

Baxter 先生は自分で解いたから solved というが、他の人は自分で解かなかったから solvable と言うのだ
と日本語でコメントしたのは気が利いていた。4次元の格子模型で解けそうなものは無いかと問うと、Yang-Baxter が230項含むが、出来るものならやってみろとのお言葉。矢張まるで違う方法で攻めるべきだろうな…


May 14 23:27

14日。Nと夕食を摂っていると A 現る。随分久しぶりだけど、前に言ってた、二人の声の混ざった音データを分離するプログラムは上手く行ったか、と問うと、その話をしたのは先週の木曜で全然久しぶりではなく、あれからまだ実験はないので何も進んでいないと。うーむ、時間感覚が崩壊している。

物性研のT助教授の喋ること喋ること。物性理論は人材難で危機だ。モデルと現実を混同するピグマリオン病に気をつけよ。物理は例えば何かが大きいとか小さいとかの極限状態から考え始めるのだが、宇宙論と素粒子論の合体した今や、極限状態とは電子と正イオンのみからなる窮極に単純な系であるところの物性である、よってすべからく人は物性理論からはじめるべきである。などと発言はなかなか面白い。Bob Laughlinがどこかの学会の講演で

場の理論で新しいアイデアが出るのはなんといっても素粒子論だ。力の統一には使われなくても、必ず物性に輸入すれば使える対象があるはずだ。さて現在のところ物性に使われていないアイデアはこれこれで(とOHPシートを示す)…
という趣旨の発言をしたとも。


May 13 23:07

13日。昨日のは trivial な計算間違いで、充分結合定数が小さければ当然厳密解のほうが安定である。が、SU(N) Luttinger は N がでかいとき(Witten を信じれば)ギャップを生じるので、どうしたものか…

もっとびっくり理論物理

物理の話は今日はここまでにして。宇宙論研の遠足に行ってきました。必死に丸の内線から有楽町線に乗り換えて10時に新木場に集合、第5福竜丸、葛西臨海公園で昼食、水族園、新木場に戻って東京臨界光速鉄道、ゆりかもめで新橋、浜離宮を散策、水上バスで浅草、雷門、銀座線で上野、焼肉屋、解散。家に帰ったら9時。

4年生で参加したのが僕だけだったので、助手と教授について歩く。新婚の××助手ののろけ話を聞いたり、とても口の回る S 助教授の応対をずっとしていたので感謝されたり、僕のぶんの焼肉をおごって頂いたりと、いやはや、全く面白かった。理学部長であらせられるところのS教授のアイスが好きなのを発見した。なんてったって一日に3つも食べたんだからな。


May 12 23:20

12日。あまりに良い天気なので散髪した。

子供の日に祖母が何か買ってくれると言うので amazon に洋書を注文してもらったのがやっと届いた。うーん、この包装で600円増しというのは何だかな…

片方は図書館ですら見たことの無い、Peierls の More Surprises。平易な書き方なのだが中身は難しい。暇が出来たら扱われている内容の一覧でも書きます。

矢張、8日に挙げた論文の内容は既に20年前に全く明快に処理されていた。またWittenだったので驚く。で勇気を出して Luttinger model で右野郎と左野郎をペアに組む BCS 型波動関数で変分してみると、厳密解よりエネルギーが低くなった。あれあれあれ?


May 11 23:57

11日。低い本体からは直接とがった葉が対称に一様にびっしり生えていて、ある日突然にょろにょろと上に人の背くらいの茎を伸ばして下を向いた鈴上の白い花を沢山咲かせる僕は名前の知らない木が、今にょろにょろ茎を伸ばし始めた状態。

駒場での午後の講義に間に合うよう金曜の昼食はいつも大急ぎで取るのだが、今日はたまたまS教授-S助教授の隣になったので話をしているとつい遅くなった。理研の例の事件の裏話を聞いた。

今日の談話会はうちの学科の大先輩が来て、シリアの砂漠に太陽電池ならべてでかい発電所を作りその電気でまた太陽電池を作って, ad infinitum, 価格破壊も起こし環境に優しいという夢のような話、および懐古譚。学科長が子供扱いされるのは年の功だけど、まあ年を取ってもあのように元気でいたいものですねえ…(今70いくつとか。)


May 10 23:39

とおか。降ったりあがったり。

ひとこまだけ藤川先生の講義に出ると、電磁場の量子化をやっていた。式中に見なれない i が出てきたので後で調べてみると、どうも Ghost c の定義がアメリカ人と i 倍違うようだ(中西と藤川、Weinberg と Peskin-Schroeder はそれぞれ一致している)。ま、摂動論やる限りは関係無いとは言え、藤川せんせ他の「作用をエルミトにする」という議論は説得力があるな。

で、図書館で1次元電子系の超伝導もどきの論文をコペーしたあと、

明倫館にランダウの物理的運動学がないのを確認して、

NさんのMcKay 対応の話を聞きに行く。ほとんど判らんかったが、An 特異点の例外因子の交わり具合だけは判ったつもり。318号室の皆さんがゾロゾロいらっしていて、これまでネット識しかなかった人と面識が出来てしまったり。

論文読んでいて、論文に関連した、書いてあるのを見たことが無い疑問が生じた時に解決する力がついていなかったりすると、勉強せねばと思う。


May 9 23:18

ここのか。ぱらつく雨の中を学校へ。着く頃にはあがった。最近何かの木で、所謂良い香りではないのだが如何にも「わ、緑」という匂いの、小さい花が咲いているのによく出会う。

Mattis-Lieb のLuttinger モデルの厳密解の論文をコピー。本題とは関係無いところの

エルミト行列 A の最小固有値をmin(A)と書いたとき、min(sA+(1-s)B)は s の関数として上に凸
という摂動では当然、変分でも当然のはずの結果を変分で導こうと上を向いて30分苦しむ。あきらめてノートに条件を書くと矢張当たり前だった。

今田先生が講義中○○はこの結果を19xx年に云々とさりげなく言うのには何時も感心していたのだが、今日は突如、一度は読んでおくと良いかもしれない参考文献を挙げましょう…と黒板一面に列挙したのでなんだか納得した。その途中で「岩波の田崎氏の書いた繰り込み群の方法とかいう本…」とあれをあたかも田崎氏のみが書いた本のように言っていたが、矢張こういうことから見ても田崎氏は絵ラインだろう。


May 8 23:30

ようか。学校で一こま終わったら既に雨。ゼミの後夕食、DNAを光電子分光中に邪魔した後自転車で帰る。ずぶ濡れになったので帰り次第シャワーを浴びる。

ゼミで助手の××さんに、「ではそのSchwartzschild 解に宇宙項を入れてみよう」と言われる前に家でやって来なかった自分の発想の貧困さを猛省す。「で質量をゼロにして計量を次のように変換してみれば」と言われて間違い間違い白板の前で計算。結局 de Sitter になる。de Sitter は5次元Minkowski空間の中の x12+x22+x32+x42-x02=一定 なる面として表わせるのだが、こいつが平面を適切に積み上げて出来ているのは衝撃的だ。

今更 massive Thirring と sine-Gordon とも思うが、 Coleman らの分析に見逃しがあるとか…これまで使われていた真空は実は極大だと主張する。


May 7 23:18

なのか。暑い。満月。うーむ、午後9時から11時までの記憶が欠落している…

ここ数週間木曜に藤川法の開祖による藤川法の集中講義があるのだが、初回はそもそも存在を知らなかった。2回目は1回目出なかったしと出なかった。10日の最終回に出ようかとも今日思ったが、5時からMcKay対応の話を聞きに行くのを思い出したので、両方には出られない。世の中上手く行かないものだ。


May 7 02:43

2秒で判るトーマス歳差


May 6 23:14

むいか。暑い。ほぼ満月。

宇宙論はここ数年大掛かりな観測が結果を出しはじめて、「素粒子論の60〜70年代のように」活気がある(Weinberg 先生もすっかり宇宙論に転進してしまったようで…)。背景放射を精密測定して晴れ上がり以前の発展のモデルの正否を区別できるなど。宇宙を一個の対象として物理の議論をするのは多少不思議な感じのする今日この頃であった。

ほんとにどうでもいい話だけど、検索エンジン google の cache でしか読めない頁の実現法を思いついた。もっとどうでもいい話だけど、 cache の原義は`隠し場所'なので、意味が激しく変わったのに驚くばかりじゃ。


May 5 23:13

いつか。うーむ、勉強不足のため、特に書くことなーし。

昼食にバンビに行くとウェイトレスのおねえさんがグラスを床に落として割った。割れる音と、箒で掃き集めるときのキラキラした音と、なかなか面白い。


May 4 23:28

よっか。晴れた。

遠くのお星様の明るさは逆2乗で落ちるというのは今や全く自然だが、お星様が有限の大きさを持っていることを考慮すると、単にお星様の見える大きさが逆2乗で落ちているだけで、単位立体角あたりの明るさは距離に依らない。ということを頭では判るのだが心で判るには時間がかかった。

Friedmann eq. を2秒で導出しようと思って既に書いてあった Einstein tensor を計算する呪文を用いて Mathematica を召喚するも、ナンセンスしか答えず苦しむ。空間部分の曲率 k を計量の段階で具体的な数値にするのと、Gμν の段階で具体的な数値にするので結果が異なるのだ。結局呪文中の縮約添字に k を使っていたせいだと判明。予想に反して30分かかった。

で、宇宙項があるときの Friedmann eq. は宇宙項があると解が複雑になる、とあって explicit な解は載ってないんだけど、無意味に Jacobi の sn, cn で書けるのを見て取ってしまった自分が多少情けない。

数学科のEさんと店で食事。をしているとS君が入ってきてびっくり。Eさんゼミとうとう別々になったとか。

お忍びでTDLに遊びにきていた某国の皇太子を過激派が暗殺したせいで、東京にミサイルが飛んできて大戦がはじまる、という最悪のシナリオが回避されたので私は安堵した。


May 3 23:12

みっか。天候不順だが惰眠を貪るにはこの程度の涼しさが丁度良い。

ひたすら統計特論と宇宙論ゼミのレポートを書いていたので、特に話題は無し。生涯で3度目くらいに球対称静的計量のRicci テンソルを計算した。面倒だ。


May 2 23:06

ふつか。天候不順。

物性に生きるほうが話題が沢山あって良いとしても、研究者の総数も多いから、下手をすると生き残りの苦労は素粒子より大変なんじゃないか、とか。

昨日の書いたのはかなり嘘だった。1次元系といっても電磁場は1次元に制限されずに3次元を自由に伝播するので、光子は重くならない。電磁波に対してへんてこな応答をするのは事実のはずだけど、詳しくはすぐには判らない。

今日の今田先生の2項分布がガウス分布になる式変形は衝撃的だった。 (<δ(x-Σξi)>のδ関数をフーリエ変換する。)

U 君もBaxterの本を借りたようだ。


May 1 23:16

1日。道に花が散っていたので目を上げると桐の花が咲いていた。

みすずの「この私、クラウディウス」という歴史小説は面白そうだ。

ゼミ後Bと夕食を摂りに中央食堂に行く。入口で家にまだカレーが残っていたのを思い出すがまあ今更何だ、家にかえってまた食べる。

cond-mat/0104556にカーボンナノチューブでカイラル量子異常が見えるとある。先月取り上げた Creutz (lattice gauge theory の大御所)のレビューではそもそも1次元系で電流が流れるのは量子異常のお蔭だと説明抜きに書いてあったが、そうではなく量子異常の効果は別に見えると。さて何時ものようにフェルミ面のあたりで分散を線形近似して無質量dirac fermion が出てくる。ここで電磁場を古典的に扱って云々と上記論文では言うが、速度が光速と電子速度が2つ出てきてよく分からないけれども兎も角 Schwinger 模型の結果を使うと

(e/(1nm √π))√(v/c)〜0.04eV〜500K
のギャップが量子異常が電磁場に食われて生じるように思える。どうなんでしょう。だいたい1次元電子系は朝永-Luttinger じゃなきゃ駄目という噂も聞くので。解決策としては
  1. 著者にメールする。
  2. 先生に聞く。
  3. Solid-state-minded colleague と一緒に考える
の3つが思い浮かぶが、勉強になるので3番が良いですな。個人的には。

ゼミで助手の××さんが簡単に quitessence の話をして下さる。話は簡単で、ポテンシャルV(φ)に従うスカラー場のエネルギー運動量テンソルの対角成分は

((∂tφ)2+(∂iφ)2)(1,1,1,1)/2+V(φ)(1,-1,-1,-1)/2
となるので、一般相対論に効く ρ+3p =2((∂tφ)2+(∂iφ)2-V(φ)) は正とは限らないということ。だから昨日「仮想的」と書いたのは多少誤りで、スカラー場があると思った途端に自然に生じるというわけ。

結局 Kittel のQuantum Theory of Solids を買いそう。amazon で検索するとこの本を母の日に贈りませんか、と出て笑える。うむ、確かにそういう家庭は理想的じゃ。