1999年4月僕の手に停まった本

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3日Cambridge『The Observational Foundation of Physics』Alan Cook つい買ってしまった妖しい本。繰り返し彼の主張が述べてあるのは丁寧だといえば丁寧だが、くどいといえばくどい。
5日Dover『Galois Theory』E. Artin そろそろこれを使ってゼミをやります。参加者募集。
7日培風館『ゲージ場の量子論1』九後汰一郎 新物理学シリーズの23。買ってみて明らかになったがまだ僕には早かったらしい。しかし最近本を買い過ぎだ。
9日吉岡書店『経路積分法』M.S. スワンソン 久しぶりに読めそうな本にめぐり合った。この本は別として、なぜ物理の本はどうせ数学的には不正確なのに式を連ねるのだろう。もっと簡潔に頼みたい。
12日岩波『量子力学における観測の理論』B. デスパーニア 哲学的すぎると思う。急いで読もうとすると分からないことだらけだ。この本は良く引用されているのである程度正統的な本なのだろう。
12日McGraw-Hill『Relativistic Quantum Fields』J.D. Bjorken, S.D. Drell とても詳しい。他の本ではあたりまえ、と書いてある式の計算をあからさまにやってくれているのは有難い。
13日東大出版会『The Expanding Universe of English』? テキスト。軽い科学読み物としては面白いが、これを1時間半の授業にされてもねえ。
14日駿河台出版社『L'Art -- propos d'Auguste Rodin』A. Rodin 必修フランス語のテキスト。あほな対話を読まされるよりはこういうのの方がよほど面白い。このクラスで良かった。
14日Phlipp Reclam『Wissenschaft als Beruf』M. Weber 洋書なのに税込428円。岩波文庫版では後書きにとてもややこしいドイツ語だと書いてあった。初心者によめるかなあ。困ったなあ。
15日岩波『数学と自然科学の哲学』H. Weyl 科学の哲学は科学の進歩に従い変わっていくはずだから古いものを呼んでも仕方がないと思われるのだが、平積みになっていると手が伸びるのである。全く最近本を買いすぎだ。
15日岩波『量子場の数理』荒木不二洋 Feynman図の本よりはこういう公理的手法の本のほうが性に合っているようだ。そろそろやりたいことが固まってきたのだろうか。
16日岩波『物性論における場の量子論』Chap.1永長直人 コはコピーの意味。著作権者にコピーしてもらったのだから著作権法違反ではない。ローレンツ変換性という手がかりが無い状況で場の量子論をするのは公理論的人々には大変だろうと思う。
19日Princeton『Dynamical Theories of Brownian Motion』Edward Nelson 前に挙げた「量子の道草」に引用されていた本。確率過程の素養の無い僕には読めない本であった。量子力学をブラウン運動で解釈する可能性を示す。
20日中央公論社『スピンはめぐる』朝永振一郎 電子スペクトルの実験のため棚から出した。まだ読めぬ。この本は英語版が最近出て写真がきれいなのでお勧めかもしれない、でも朝永先生の語り口を原語で読むのも良いかもしれない。
21日?『ブッタとシッタカブッタ3』? 数年前一世を風靡したこの漫画。ピアノの会にあったので読んだ。言葉で捉えると「本当のもの」は失われてしまう、しかし言葉で捉えない限り確かなものは得られないのだ!
21日岩波『因果性と相補性』Niels Bohr(山本義隆訳) 取り敢えず訳者解説を読む。実験の配置の総体と共にしか語ることの出来ない微小部分の性質、その背後に「量子力学的実体」があると考えてはならないか?
21日岩波『くりこみ群の方法』江沢 et al. 物理定数は理論が現実に一致するよう逆算されるものなので、「観測される結合定数」と「裸の結合定数」という言葉の意味がわからなかったが、この本にはきちんと書いてあって助かった。5章以降は僕の性にあう記述なので分からないにせよ感覚がつかめる。。
23日Addison Wesley『Introduction to QFT』Peskin et Schoeder がんばって読んでいたのだが、数学的にあまりに意味不明な言明が多くて困る。物理をやりたければ、そんなことを言っていてはいけないのだろうか。

Written by 立川裕二。ご意見は こちらへ。