1999年12月僕の手に停まった本

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1日ダイヤモンド社『究極理論への夢』S. Weinberg マコーマクの本が引用されていたり。なかなか面白かった。一読に値す。それ以上かは不明。
2日岩波『共形場理論と1次元量子系』川上・梁 松尾先生がΣn=-1/12をζの解析接続でやったときに詳しいことはこの本に書いてあるのでは、とおっしゃっていたが、あからさまには出ていないようだ。
3日東京図書『数理物理学の方法2』クーラン・ヒルベルト たぶんまだこのリストに挙げていないだろうから。物理数学の演習でBessel 函数がとうとう出てきたので勉強しようかと。3巻4巻はもっていない。1巻はある。読んでいないが。
4日みすず『量子力学の数学的基礎』J. von Neumann 先週の日曜日に石田君に貸したのを覚えておくために。
4日岩波『量子力学』P.A.M. Dirac 同上。これは前にもこのリストに挙げたと思う。
7日培風館『続・物理学の視点 - 時空・量子飛躍・ゲージ場』江沢洋 こういう本が書けるようになりたいものである。
8日追記:各章見だしについている3体問題のシミュレートをMathematica でやってみる。ノートブックをおいておきます。しかしやけに月が暴れるなあ、と本を見ていたのですがなんと地球の公転と反対に回していたのですね…そりゃ暴れるだろう。
9日岩波『モンスター - 群のひろがり』原田耕一郎全然わからん。p.122 の
物理学では、n∈N に対して an を生成作用素と呼び、andaggerを消滅作用素と呼んでいた。
というのは逆だと思うのだが。
10日共立『クライン - 19世紀の数学』F. Klein無い暇を潰すために。しかし保型関数な今日この頃である。
12日D『String/Duality/CFT 入門』松尾泰 紐だ。ところで松尾先生はとても腰が低い。学生に対しても腰が低いのでちょっと学生としては困る。
13日シュプリンガー東京『楕円関数論』A. フルヴィッツ, R. クーラント テータ関数の無限積表示の純粋に複素関数論的な証明が知りたかった。計算は面倒なだけで、あまり分かった気がしない。むむう。
15日岩波『代数函数論』岩澤健吉 「直交射影の方法」による本をさがしていた。 おそらくHodge 分解とおなじなのだろうが。
15日D『Renormalization in quantum field theory and the Riemann-Hilbert problem I』A. Connes, D. Kreimer 物理的意義がわからん。繰り込み群的みかたとの関係がわからん。
17日D『E6 unification model building I : Clebsch-Gordan coefficients of 27\otimes 27』G. Anderson and T. Blazek E6の表現のテンソル積の分解を細かくしらべただけで未だに論文になりうるものかしら。
20日サイエンス社『数理科学2000年1月号』保型関数、紐、CFT…
21日マグロウヒル好学社『統計』スピーゲル マグロウヒル大学演習シリーズのひとつ。χ2分布とかそろそろ勉強せんとテストが。
24日D『Fields』W. Siegel 700ページの大著。"The first free comprehensive textbook on quantum (and classical) field theory. " また "The PDF version can be more convenient than paper books" だそうだが、コンピュータ上で読めるだろうか。とりあえず印刷、製本したので見たい人は僕に言ってください。非摂動効果の議論が少ない。一方超対称性には詳しい。古典一粒子相対論的力学においてもスカラーポテンシァルを強くすれば対生成が記述できる、というのだが。
26日Cambridge『The Rise of the Standard Model』Ed. by Hoddeson et al. 標準模型の各側面の確立にかかわった「張本人」を大勢集めてひらいた symposium の記録。とりあえず会議の主催者側のイントロを読んだが、Pickering の「Constructing Quarks」がなんども mention されている。次の一節
In a telling phrase, perhaps reflecting the influence of ideas imported from condensed matter physics, particle physicists sometimes refer to this convulsive period not as a revolution but as a "phase change." As if the field itself had somehow become supercooled by the late 1960s, and the addition of a few critical "seeds" -- the MIT-SLAC experiments, say, and the renormalization of Yang-Mills gauge theories -- led to a period of rapid crystallization during the 1970s. The many had become one.
というのはうまい。 GWS の Nobel 賞が僕の生まれた年か…いつになったら fall するのかしら。

Written by 立川裕二。ご意見は こちらへ。