2000年2月僕の手に停まった本

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1日岩波『ホロノミック量子場』神保道夫 場の理論場の理論場の理論。
2日岩波『微分形式の幾何学1,2』森田茂之 ノーコメント。耳年増になることは、良いことかどうか。
2日日本評論社『量子の道草』保江邦夫 ゆーこばに言われたのと昨日たまたま眺めていたのが重なった。Schroedinger方程式に従う粒子の一個一個の運動が確率微分方程式で書けると主張。しかし、これではEPRとか2重スリットとかにあからさまに反すると思うのだ。
3日岩波『直説法によるソリトンの数理』広田良吾 借りただけではあるが。広田微分がどうもOPEに見える。別段広田微分は積の特異性を扱っているわけではないのだけれども。
4日みすず『鏡のなかの世界』朝永振一郎 どーでもよいエセーが多い。滞独日記は岩波文庫の「量子力学と私」所収のものより多いが、共通する部分も多少違いが見える。編集が入っているのであろう。
8日ポリドール『preludes/impromptus』chopin/ashkenazy 中古CDフェアを生協でやっていたので。
8日学献社『科学技術者のためのロシア語入門』永村純一 教養の図書館にロシア語版のランダウリフシッツがあるのはご存知だろうか。というわけ。
14日みすず『ハイゼンベルクの追憶』E. Heisenberg ナチ下の苦悩が書いてある。読むことを勧める。W. Heisenbergがナチではなかったと死後に妻が弁護した本であるが、僕も「良心への信仰」を掲げる学生としてその通りと信じたい。
17日日本評論社『拘束系の力学』村井信行 詳しくはひとつ下を見よ。
18日Princeton Univ. Press『Quantization of Gauge Systems』M. Henneaux and C. Teitelboim 数理図書館で借りる。誰にも借りられていなかった。上の本と余り内容は変わらないようだが、TeXが綺麗なので読み易い。内容だが、九後にせよWeinbergにせよゲージ理論の繰りこみ可能性は反括弧の(コ)ホモロジーを調べて証明しているのであるから、その「物理的意義」が明らかにされねばならない。まあ成書があるのだから読もうということである。
21日Springer 東京『量子群とヤン・バクスター方程式』神保道夫 アフィン Lie 環を勉強していると自然に読めるようである。
21日遊星社『選択公理と数学(増補版)』田中尚夫 新刊書の棚で、上の隣に並んでいたのでつい借りてしまった。
23日Reclam『Quantentheorie und Philosophie』W. Heisenberg ヨーロッパ人のくせに水素を Hydorogen ではなく Wasserstoff というドイツ人は国粋主義が悪影響をおよぼす典型ではなかろか。
28日Birkhäuser『Mathematics and Physics』Yu.I. Manin 軽いエセー。
28日Princeton Univ.Press『Supersymmetry and Supergravity』Wess&BaggerWeinberg先生の本もそろそろ日本に着くだろうし、うーむ、と言ったところ。
29日Springer『Gauge Field Theory and Complex Geometry』Yu.I. Manin 思い出して借りる。上記『Mathematics and Physics』で挙げた内容と平行している。全くManin先生の視野の広さには恐れ入る。書き出しの標準模型のまとめなぞまるで物理のその方面の入門書を読んでいるよう。内容はAtiyah-Drinfeld-Hitchinによるインスタントン解の代数幾何的構成プラスsuper幾何の解説といったところか(わかったふりして書いてあるが全く読めていないことに注意)。『Quantization of Gauge Systems』と対象手法とも似ているが目的は全く違う。何故だ?

Written by 立川裕二。ご意見は こちらへ。